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言葉の壁!文化のちがい!外国人の上司・同僚と働いた思い出

 


(初めまして。はじめまして、フリーライターの日野珠希といいます。

私は2017年4月に開業届を出すまで16年間会社員をやっていました。新卒で入社した日系のSlerを皮切りに編集プロダクション、制作会社、外資系ベンダー、電気メーカー、学校法人など約10社渡り歩いてきました。私の経験職種は普段みなさんが仕事で使うパソコンやサーバと呼ばれる大型コンピューターのメンテナンスや技術サポートを行うヘルプデスクと編集ライターです。






 
 

 

 

 

 

同じ職種でも会社が変われば、微妙に仕事の進め方や集まってくる社員の性格もちがいます。たとえば、同じIT系でも日系Sler外資系ベンダーではまったく別物です。16年の社会人生活で転職を繰り返したおかげで、いろんな人たちと一緒に仕事をしてきました。その中でも一番印象に残っている外国人の上司、同僚と働いた経験をご紹介します。

 

日本人が関西出身と東京出身で全然ちがうように、外国の方も国籍や人種により考え方や習慣が異なります。この記事に書いた内容はあくまでも私が接した方々の話であり、すべての外国人に当てはまるわけではありません。そのことを踏まえたうえで読んでいただければと思います。

 

英語力ゼロの私が外国人と働くようになった理由

 

ぶっちゃけ私の英語力はほとんどありません。仕事柄、サーバで起きた障害の原因を調べる際に最新の技術情報が英文しかないので、かろうじて英文が読める程度です。それ以外の「話す」「聞く」はまったくできません。せいぜい、Google翻訳を使いながら英文メールが書けるぐらいです。







 

英語力がゼロに等しい私が外国人の上司や同僚と一緒に働くこととなったきっかけは、ITエンジニアの技術者派遣を行う会社に転職したからです。ここは、インフラ構築やセキュリティ対策、ヘルプデスクを行うITエンジニアを非IT系企業の情報システム部門アウトソーシングする会社でした。そのため、社員の大半が自社ではなくお客様先で常駐して働いていました。私も例外でありません。

 

私がこの会社に転職した理由は面接で「残業時間がほとんどない」といわれたからです。

しかし、実際には私がアサインされた職場は、前任者が大病して倒れたいわくつきの外資系企業。まともな引き継ぎなしで業務の立て直しをしなければなりません。しかも、ちょうど私が入社した時期はパソコンのリプレイスや常駐先企業の内部監査を控えていた色々と忙しい時期でした。そのため、在籍中は、毎日平均2時間は残業していた記憶があります。定時で上がれたらラッキーだと思う程度です。

 

しかも私と一緒に働く情シス部門のメンバーは全員外国人。私を含めてこんな感じのメンバーと一緒に働くこととなりました。

 

  • 中国人男性の楊さん:外資系企業の社員で情シス部門のマネージャー
  • アメリカ人のスティーブ:同じ会社から業務委託で週3回だけ作業に来るスタッフ
  • 中国人女性の周さん:同じ会社から業務委託で毎日常駐するスタッフ
  • 私:周さんと同じ

 

外資系企業といっても規模は会社によりけりで、私が常駐された企業は、全世界で5000人程度しか社員がいません。そのため、日本法人の社員は120人程度でした。情シス部門と研究部門のマネージャー以外は全員日本人だったので、社内の雰囲気は日本の中小企業とそう変わりません。強いてちがいをあげるなら、「既婚女性でも海外出張を頻繁に行う」「役員は全員個室持ち」というぐらいです。

 

情シス部門は外国人だらけでも社員は圧倒的に日本人が多かったので、普段のコミュニケーションは日本語です。中国人の2人は英語よりも日本語が話しやすいといっていたのもあって、その言葉に甘えて普段の会話は日本語ですませていました。これは本当に助かりました。

 

日本人とここがちがう?外国人とのコミュニケーション

 

実際に外国人と接してみて大変だと思ったことをまとめてみました。

 

意見を伝えるのも一苦労…微妙なニュアンスが伝わらない

 

情シス部門の3人はとても良い頭のよいエリートさんたちで、日本語も上手です。しかし、ネイティブではないので会話しても微妙なニュアンスはなかなか伝わりません。

 

日本人同士だったら1分で終わる話も彼らと話すと5分近くかかることもしばしば。お互いの意思疎通がスムーズにいかないときは、紙で英語や日本語を交えながら筆談していました。失礼を承知でいいますが、ぶっちゃけ外国の方は字が汚いです。そのため、筆談でも字を解読するのに一苦労でした。言葉による意思疎通がうまくいかないことは私に結構ストレスでした。

 

率直に意見をいう

 

良くも悪くも彼らは自分の意見を率直にいいます。それが日本人との大きなちがいです。特に周さんは顕著でした。

 

入社したての頃、周さんから英語力について質問されたときのことです。

 

周さん「あなたどのくらい英語できるの?」

私「かろうじて読める程度ですね。ほとんど英語できません」

周さん「はぁ~あなたその程度の英語力でうちの会社に来たんですか?ちょっとありえないんですけど」

 

あまりにも率直にダメ出しされたので、「面と向かってディスるとかスゲー。さすが中国人。日本人だったら思っても絶対いわないよね」と腹が立つというよりも私はある種の感動を覚えました。

 

手厳しい意見ですが、周さんのいうことは正しいです。外資系企業に入ったら何だかんだ英語は使います。実際、本国の情シスにメールで質問したり、他国の情シスとの電話会議に参加したりする機会はあったので業務で英語は必要でした。いくら面接で「英語力はなくてOK」といわれても勉強するのが当たり前です。

 

また、転職あるあるなのですが、面接をする人事や管理職クラスの人が「入社後に勉強してもらえればいいよ」と優しいことをいいます。しかし、中途採用のスタッフを受け入れる現場としては「誰が面倒見ると思ってるんだ」と迷惑することは結構あります。

 

アバウト過ぎて大事なことを教えてくれない

 

中国人の2人はかなりアバウトな性格でした。よくいえばおおらか、悪くいえば雑。特にマネージャーの楊さんのアバウト過ぎて大事なことを伝え忘れていることが多くて本当に困りました。

 

楊さんは外出することが多く、社内にいないことがたびたびありました。そんな日に限って楊さんしか知らないシステムのことについて質問を受けます。しかも、「銀行の決済システムで入金ができない。今日入金しないとみんなの給料や業者への支払いが間に合わない」と緊急対応が必要とされるものばかりです。

 

外出するのは一向に構いませんが、他の社員は「情シスに聞けば何とかなる」と思っています。そのため、楊さんしか知らないことが多くて困ることは頻繁にありました。日本人の上司でも少なからずあることですが、日本人の比ではありません。

 

結局、銀行の決済システムの件で、楊さんの携帯に電話してもなかなか捕まりません。銀行の入金時間に間に合わないので、本当はやってはいけないことですが、管理者権限で楊さんのパソコンにログインして決済システムのマニュアルを見ながら何とか対応した記憶があります。

 

感情の起伏が激しい

 

日本人と比べて感情の起伏が激しいです。特に周さんは激怒すると手がつけられません。彼女は業務量が多く誰よりも遅くまで残業していました。ある日、週1回の定例ミーティングで「なぜ私1人だけこんなに仕事をしなきゃいけないんだ!」と、3時間延々と彼女の怒りの声を聞かされたときはさすがに辟易しました。「こんなに長時間怒ってよく疲れないなあ……」と感心するほどです。あまりにも彼女の怒りが激しいので誰も口をはさめません。反論すると10倍以上の勢いでいい返されて話が長くなるからです。

 

楊さん以外のメンバーは同じ会社から業務委託で常駐しているスタッフです。しかし、3人ともそれぞれ業務委託契約書に記載されている業務内容、勤務時間、単価がちがいます。そのため、同じ職場で働いていても担当する仕事の内容は全く異なります。せいぜい周さんと私の共通業務はユーザーサポートぐらい。しかも、業務のやり取りは8割以上メールで行います。楊さんと周さんがやり取りするメールのccに私やスティーブは入れないので、なぜ彼女だけ業務量が多いのか私にもスティーブにも判断できません。

 

周さんと私は週5日常駐していてデスクが隣なので、よく彼女の愚痴は聞いていました。彼女は自分の感情が先走ると、頭の中で考えていることをうまく説明できません。彼女の母国語の中国語だったらひょっとしたら、もっとうまく喋れたのかもしれません。残念ながら私は中国語がわかりません。あまりに愚痴が多くて、聞く方も疲れるので、彼女に私にできることはないか以下の質問をしてみました。

 

  1. 何の業務で困っているの?
  2. 私にできることはある?
  3. 2であればいつまでに何をやればいい?
  4. 3の中で複数業務があったうちの優先順位はどれ?

 

周さんはちょっと考え込んで「説明するの面倒くさい。でも自分だけ仕事多いのイヤ」といいました。この言葉を聞いて「真面目に取り合うんじゃなかった……。バカバカしい」と私は心底思いました。

 

日本人よりも仕事がしやすい面もある

 

かなり戸惑う面もありましたが、日本人の上司や同僚よりも仕事がしやすい面もたくさんありました。

 

意志決定が早い

 

楊さんはアバウトすぎるところもありましたが、とても合理的な人でもありました。業務で困ったことや進めたいことを相談したときの意思決定の早さは、日本人上司とは比べてものになりません。

 

日本人上司の中には「大変だね」「気持ちはよくわかるよ」と耳障りのよい励ましの言葉だけいって何のフォローもしてくれない人もかなりいます。そればかりか責任を押し付ける人も少なくありません。

 

楊さんは大事なことの説明が足りないだけで、無責任な人ではありません。その点、一緒に仕事をしていて日本人上司よりも信用できました。むしろ、微妙なニュアンスは伝わらなくても、仕事がサクサク進むので下手な日本人上司よりもやりやすいと思うほどです。

 

裏表がない

 

彼らは、日本人の感覚でいえば「辛辣すぎる」と思うぐらいはっきり意見をいいます。しかし、本人のいないところで悪口をいったりすることはありませんでした。これは3人に共通していたことです。

 

裏表がないので、日本人とちがって言葉の裏を読んだり、深読みしたりする必要はありません。いわれた言葉を額面どおり受け取ってよいのでかえって日本人より付き合いやすい部分もありました。

 

周さんにいわれてとても印象に残っていることがあります。

 

周さん:「どうして日本人の女の子ってなぜ本人のいないところで悪口いうの?アメリカ人や韓国人はそんなことしないんだけど?気になるところがあればお互いはっきりいえばいいのに。私は他国の人たちと同じように日本人とも本音で話して仲良くしたい

 

この発言に対する私の答えはこれです。

 

私:「日本人女性は何でも共感してほしい生き物だから、反対意見を聞くのがキライなんだよ。たとえそれが正論だったとしてもね

 

私は日本人の中でもテンションが低くて、なるべく静かに過ごしたいと思う人です。正直、周さんのストレート過ぎる感情表現に自分のエネルギーを吸い取られるような気がして、なるべく距離を起きたいと思っていました。まるで自分の本音を見透かされた気分に陥りました。「仲良くしたいと思ってくれるのは嬉しいけど……」と複雑な気持ちになったことを今でも覚えています。

 

結論:付き合いづらい面もあるけど日本人にないよさもある

 

私は根っからの日本人なのでやはり外国人と比べて日本人の方が付き合いやすいです。会話をしていて微妙なニュアンスが伝わらないところが一番のストレスでした。私が英語や中国語で彼らと会話ができればもう少しちがったのかもしれません。また、彼らのアバウトさや感情表現の激しさに振り回されてとても疲れた部分もあります。

 

辛辣な意見に正直傷つくこともありました。反論したくても相手の口調が強すぎて「うまく言い返せない……」とモヤモヤすることもしばしば。しかし、裏表がないのでいわれたことを額面通り受け取ってよい付き合いやすさもありました。

 

残念ながらドラマのように彼らと国籍や人種を超えた深い友情を築けたわけではありません。あくまでも仕事上の付き合いです。しかし、日本にいながら1つのチームで外国人の彼らと一緒に仕事をできたことは、私にとって貴重な経験です。今はたまたまフリーランスのライターとして働いていますが、また会社員に戻ることもあるかもしれません。会社員に戻ったとしても外国の人と隣のデスクで一緒に働くことは私の人生で二度とないでしょう。

 

参考

success-job.jp